e-OHNO MAIL NEWS 第182号

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  e-OHNO MAIL NEWS 第182号 2019/11/23

      https://www.ohno.mgmt.waseda.ac.jp/wordpress/

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こんにちは。今月号のe-OHNO MAIL NEWSの編集を担当させて頂くこととなりました、学部4年の摩嶋翼と申します。

今回のメールマガジンは、以下のコンテンツでお送りいたします。

■ 今月号のコンテンツ ■ (敬称略)

【1】やっぱりすごいぞ!ラグビー  大野高裕

【2】ビジネス最前線       葛山康典

【3】リレーエッセイ第17号

(シニアの部) 澤本信昭

(中堅の部)  鈴木大輔

(若手の部)  邵骏腾

【4】ウェルカムバック!       大野高裕

【5】日本経営システム学会研究報告記

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【1】やっぱりすごいぞ!ラグビー  大野高裕

まずは大野研究室関係OB/OG会の宣伝です。すでに別途ご案内が行っていると思いますが、11月30日土曜19:15から「DESK赤坂見附」にて開催いたします。 https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13182067/

このOB/OG会では年齢層を超えた新たな出会いやネットワークができあがります。研究室ならではの信頼関係の下に公私ともに役立てていただければと思っています。是非ともご参加ください。待ってま~す。

さて、9月20日から始まり、11月2日の全日程を終えたラグビーワールドカップ。この約1か月半はずっと、ラグビー漬けでした。自分でもこんなにラグビー好きだったかな?っていう、にわかファンの一人なのですが、感動の連続の日々でした。先月号でもラグビーの話題を書いたのですが、興奮冷めやらず今月もラグビーしちゃいます。

先月号では日本が予選リーグを全勝で通過して初の決勝リーグへとコマを進めたところまででした。準々決勝で当たった南アフリカとの一戦はちょうど、研究室の合宿とぶつかりました。この合宿は学部3年生が新たに研究室メンバーに加わるタイミングで研究室の懇親を図り、一致団結して卒論・修論の難局を乗り越えようという趣旨があります。ですので、合宿ではスポーツと飲み会による懇親のみで、ゼミは行いません。10年以上前は昼・夜・朝とゼミをやっていましたが、研究室の規模が大きくなってからは、研究室メンバー全員が一同に集まれる機会が少なくなってしまったので、合宿では懇親に徹底することにしています。その代わり、年末には丸一日かけて全員発表のゼミを大学構内で行って卒論・修論の総まとめを行います。

ところで、下にある写真の風景を覚えているOB/OGの方も多いかと思います。そうです、追分セミナーハウスから見える浅間山で、正面の階段を上がったところにサッカーグランドがあります(後姿の学生は大野研のメンバー)。セミナーハウスの名前も最近では「軽井沢セミナーハウス」とおしゃれになってしまい、宿舎も建て直されてきれいになりました。ただ、昔名物だったバーベキューは食堂の売上への影響もあって、実質的には自由にやれないのは残念なところです。

今回、学生たちはサッカーやドッジボール、バスケットボールで汗を流しましたが、私は夜の準々決勝をゼミ室でパブリックビューイングしようと、準備に追われていました。ゼミナーハウスにはテレビを置いていないので、PCを用意し、無線LANがつながりにくいとのことだったので、有線でのケーブルも持ち込みました。ゼミ室には大型スクリーンとプロジェクター、さらにはスピーカー設備もあったので、これにつなげて映し出そうと試みました。でも、私が一人でやってもどうもうまくいきません。そこで、その道に詳しい学生4名をグランドからスカウトして手伝ってもらいました。やはり、学生はすごいですね。テキパキと様々な機材を接続してパブリックビューイング会場を作ってくれました。

いつもは夕食後に飲み会をするのですが、私のわがままで全員が強制的にラグビー観戦となりました。聞いてみるとラグビーをよく知らないという学生も多く、ちょっとハラスメントがらみかとも思いましたが、素晴らしいラグビーをこの機会に是非とも知ってもらいたいと、「ビール飲みながら観戦するのがラグビーだぜ!」と知ったかぶりしつつ、エサで釣ってみんなをなだめました。

大画面スクリーンと大音響とで、パブリックビューイングは完ぺきに始まりました。ただ有線での接続が上手くいかず、無線での接続だったので、途中で静止画像になってしまうというトラブルが頻発しました。それでも、日本の主将リーチ・マイケルがボールを持つと「リーチ!」という掛け声がかかる本格的な応援となりました。試合結果はご承知の通り、ベスト4への壁は厚く、完敗といった趣でしたが、世界のトップチームの試合運びや予選とは違う決勝ラウンドへの試合モードの切り替えは、とても勉強させられました。

ここでジャパンのラグビーは終わったわけですが、私のワールドカップは終わりませんでした。実はニュージーランドvsウェールズの3位決定戦のチケットを池田晃久さんから譲っていただいたのです。池田さんのところの大成建設はオフィシャルスポンサーの一つです。スポンサー料というのは、想像を絶するとても高額だと聞いています。その案件を池田さんが社内トップに稟議を上げて通したそうで、その手腕には目を見張るものがあります。開催前、ラグビーのワールドカップはそんな注目されないのではないかとの下馬評がありました。しかし、これだけラグビーワールドカップが盛り上がったのですから、今考えてみればオフィシャルスポンサーのコスパは高かったということで、池田さんの先見の明は社長賞モノですね!

下の写真は、その3位決定戦が行われた会場に設置されたオフィシャルスポンサー用のパーティルームです。試合前にちょっとしたおつまみとアルコールが用意されています。まるで世界のVIPになったような気分で、池田さんから幸せのおすそ分けを試合前に楽しんでしまいました。

ご存知の通り、池田さんは早大ラグビー部のレギュラー(2番:フッカー)で23歳以下日本代表の選手としてイギリス遠征もした方ですから、これはもう的確な解説で世界トップのラグビーを堪能することができました。今度の11月30日のOB/OG会にも参加してほしかったのですが、あいにくベトナム出張中とのことで、皆さんにラグビーワールドカップのお話をしてもらえないのは残念ですが、そのうちに4年後を見据えたラグビーのお話をこのメルマガに寄稿してもらおうと思っています。

そしてさらには、南アフリカとイングランドの決勝戦も川島孝一さんの用意してくれたチケットで観戦することができました。1年半前のチケット前売り開始の時に、川島さんから「決勝戦行きませんか?」と誘われて、「行く行く」と二つ返事でチケット購入をお願いしました。で、購入してもらってから、「チケット、いくら?」と聞いたら軽く「10万円」と言うので、思わずのけぞってしまいました。家内・みな子さんにはチケットの値段は言い出せず、さみしいヘソクリからやり繰りしたのですが、先日の東京オリンピックの各種競技チケット公募での値段を聞いたら、「それに比べりゃ安よね」と思いなおすことができ、また、これだけの盛り上がりを見せての決勝戦の会場では「神さま、仏さま、川島さま」と拝んでしまいました。「4年に一度じゃない。一生に一度だ!」というラグビーワールドカップ2019日本のキャッチフレーズそのままに、感動のうちに決勝戦を観ることができました。

ということで、44日間のラグビーワールドカップは大会の幕を閉じたわけですが、私のワールドカップにはまだオマケがありました。10月22日に、ある仕事の関係で伊豆の川奈ホテルゴルフコースでプレーを楽しむことになっていました。当日は台風崩れの低気圧の関係で前日夜から大雨と風が吹き荒れて、ゴルフどころではなかったのですが、お付き合いのゴルフなので「やめましょうよ」とも言えず、第1ホールからスタートしました。すると隣の上がりの第9ホールに半袖半ズボンでゴルフをしている大男たちがいるのです。寒い雨も強風もへっちゃらといった表情です。川奈は海からの風が強いゴルフ場で有名ですが、その日は本当に立っていられないほど、スイングなんか問題外という状況でした。それでもその大男たちは平然と笑顔でクラブを振っているのです。

すると、キャディさんが「あの人たちはラグビーのアイルランド代表選手たちですよ」と教えてくれました。お昼のレストランでは確かに試合後のインタビューに答えていたヘッドコーチがいました。また、ラウンド後にお風呂に入ったら、そのムキムキの大男たちがいるのです。まるでギリシャのパルテノン神殿のヘラクレスのお風呂といった感じです。ローマ風呂というべきでしょうか? 裸のつき合いまでしてしまいました。

(「お背中、流しましょうか?」と話しかけてお友達になりたかったのですが、英語ができずに断念しました)

アイルランド代表チームは10月19日にニュージーランドと準々決勝を戦って敗れたわけですが、そのチームが選手もコーチ陣もほぼ全員、川奈での暴風雨の中のゴルフを楽しんでいたわけです。試合後の”お疲れさん会”だったのですね。

ということで、44日間のラグビーワールドカップを心行くまで堪能したわけですが、今回の海外から観戦に来た人たちはだいたい10日間くらいツアーだったそうです。試合が1週間空くので、その間はあちこちの観光旅行をして、試合は最初と最後の2回を見るというパターンということです。次回4年後のラグビーワールドカップはフランスで開催されるとのことですので、今からコツコツ貯金をして、「10日間くらいのツアーに参加したいね」と、みな子さんと話をしています。

ワールドカップが終わって、あちこちで”ラグビーロス”という言葉を耳にしますが、私もちょっとその卦があります。でも、今シーズンの大学ラグビーでは、早稲田が9期ぶりに帝京に勝ち、12月1日の早明戦も楽しみですし、大学選手権も久々に年を越して1月2日の準決勝に進めるかもしれません。そんな解説を11月30日のOB/OG会では早大ラグビー部副部長の葛山康典教授が語ってくれることになっていますので、お楽しみにしてください。そしてラグビーファン代表として、川島孝一さんにもお話をしていただきますので、こちらもお楽しみに!

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【2】ビジネス最前線  葛山康典

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今月号では早稲田大学社会科学部教授の葛山康典先生に、学術界としての「ビジネス最前線」を書いていただきました。金融工学が社会的に定着してから早くも20年以上が経ちますが、葛山先生は日本での草分け的存在として、金融工学を常にリードされて来られました。先生にはこれからの動向も含めて金融工学の実務的ツボを書いていただきました。お楽しみください。

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私は平成元年に尾関研を卒業し、博士課程・助手のあいだ大野先生にご指導いただき、社会科学部に就職してからも先生には大変お世話になっています。学部時代には財務分析をテーマにしていましたが、大野先生から、「年に2回しかデータがない財務(当時は四半期導入前)より、株価だ」とアドバイスを頂き、現在まで研究対象としています。幸か不幸か、当時はこんなに難しい分野だとは知らなかったのですが。

 先日の河野さんの記事を懐かしく読んで大野先生にメールしたところ、最近の研究について何か書くようにとのお返事を頂きました。原稿を準備していたところ、荒木さんからもリファーしていただきました。この原稿がそのイメージを崩さない内容になると良いのですが。

 現在社会科学部でファイナンスを教えていますが、文系学部にいると、様々な専門の先生がいます。たとえば唯物論を語る専門家が、「なぜ物質は存在するのか?」なんて話し始めます。「物質」が「反物質」よりチョット多かった為じゃない?と心の中で思うわけです。

 さて、ファイナンスの世界で、伊藤清先生を知らない人はいないと思います。伊藤先生は、幼少期知人のお姉さんに『哲学は宇宙の原理、原則を研究する学問なり』といわれ、衝撃をうけたたそうです。後年一高で哲学青年と議論を戦わせたものの、「その議論は余りにも主観的、内面的、形而上的で、私の心にはしっくりこなかった」と語っておられます。しかし「落体の運動、放物体の運動、天体の運動がすべてニュートンの運動の三法則と万有引力から、微分方程式を解くことによって完全に決定されるということは、これこそ『宇宙の原理、原則を研究する学問』である」と考え、微分方程式を専門にされたと述懐されています。(出典:岩波書店「確率論と私」)

 宇宙の原理、原則は壮大過ぎるのですが、現代ファイナンスでは、無裁定条件が『証券価格等を支配する原理、原則』といえます。市場にM種類の証券が存在し、N個の自然の状態があるとします。状態nが生起したときの、m証券のペイオフをDで表します。bは証券価格ベクトルとすると、無裁定条件とは以下の条件です。

   任意のポートフォリオq∈R^Mに対して、

           qD≧0 ならばqb≧0が成立する

無裁定条件(No Free Lunch)が成立することと、リスク中立確率θが存在することは同値ですが、これを証明するために、二者択一の定理と呼ばれるいくつかの定理がしばしば用いられます。ここでは次のFarkasの補題を用いましょう。

   X={θ∈R^N | Dθ=b, θ≧0}, Y={q∈R^M| qD≧0, qb<0}に対して    X≠∅ か Y≠∅ の一方が成立する。 二者択一といわれる所以です。  さて、無裁定とはqD≧0 で、かつqb<0となるbが存在しないと言い換えることができます。このときY=∅となりX≠∅が成立します。このとき、Xの条件からθが存在します。つまり、無裁定条件はリスク中立確立θの存在が必要十分条件になります。Farkasの補題の証明には双対定理が用いられることから、ファイナンスと数理計画は非常に近い関係にあること想像できます。David Luenbegerをはじめ、多くの数理計画の専門家がファイナンスで多くの業績を残しているのも納得がゆきます。 しかし、無裁定条件から証券価格が導かれたデリバティブズはリーマンショックを引き起こしました。City Group CEO Chuck Princeは当時、次のように語っています。 “When the music stops, in terms of liquidity, things will be complicated. But as long as the music is playing, you've got to get up and dance. We're still dancing,” 金融業が内包するエージェンシー問題を鋭く突いた言葉です。リーマンショックを境に、世界の金融機関、特に商業銀行はBIS規制、ボルカールールをはじめとする様々な規制の影響もうけリスクに対して後ろ向きになりました。そして学術研究も。 最近、Block Chain Governance という概念を打ち出した研究者がいます。何でも論文のネタにしてしまう、さすが米国です。きっとまた、知性にあふれたテーマが出てくることでしょう。 眠気誘う雑文におつきあい合いくださり、ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】リレーエッセイ第17号 (シニアの部) 澤本信昭 (中堅の部)  鈴木大輔 (若手の部)  邵骏腾 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (シニアの部) 澤本信昭 1997年院卒の澤本信昭と申します。恥ずかしながらこのメルマガの存在も知らず、大野先生とも修了以来ご無沙汰してしまっている状況の中、同期の荒木から話を受けた時は正直非常に戸惑いましたが、個人的に記念の年でもある2019 年にお話を頂いたのは何かの縁のような気もしています。 夜中に悪夢にうなされ目が覚めてホッとするという経験はどなたでもあるのではないかと思いますが、いつも決まって同じ悪夢を見るということはありますか。私は定期的にみる悪夢があります。若かりし頃の自分が、大野研の同期のみんなと会話をしている、その中で、要旨提出直前だというのに自分だけ論文がまとまっていない事実に直面、卒業できないのではないかという恐怖にさらされる。そこで目が覚め、それが夢であったと気付きホッと息をつくのですが、私の場合、それは架空の夢ではなく、実際の経験に基づいています。もう20年以上経つんですね。 私の早稲田を出た後の人生を語るには、早稲田時代の話を避けては語れませので、少々手短に・・・。悪夢の一週間を経て無事卒業しましたが、あの経験が、その後、将来について自問自答を繰り返すきっかけになったと思います。大学院に進んでからも何が本当に自分のしたいことなのだろうかと考える日々でした。当時就職したい企業No. 1であった某電機メーカーから内定ももらいましたが、諸々の理由から辞退。その後就職活動を続けるものの、就職先は決まらず。周りからは様々なことを言われましが、逆に自分としては凄くすっきりした気分で、自分の将来と向き合えたことを覚えています。 卒業・修了式直前の大野研での謝恩会の席でみんな一人一人最後の言葉を残す中、私はその時の自分の決意を述べました。自分の人生は、遅れを取り戻せない、みんなとはちがったものになるかもしれない。でも自分に後悔はない。これまでは何が正しい選択なのかということに囚われていたけれど、正しい選択肢なんてものは存在しない。自分が選んだ選択肢が正しかったと思えるよう自分で変えていけばいい。10年後、20年後、胸を張ってみんなに会うことができるよう、これからの人生を生きていく。 アメリカに留学をするというのが中学生の頃からの夢だった私は、大学時代、就職後お金を貯めて留学しようと考えていました。その就職がままならなかったため、いつか留学をするなら今しかないと決意、元来スポーツ好きであるので、微量ながらもこれまで得た知識をスポーツの場で活かすことができればとスポーツビジネスマネジメントを専攻・勉強したいという思いもあり、両親に土下座をして、留学を目指す日々が始まりました。その後1年かけてTOEFL 600点突破。難関であったGREもこなし、第1志望であったサンフランシスコ大学に合格。そして1999年7月に渡米。早いもので今年でちょうど20年になります。今でこそネットでスポーツを見ることは当たり前になりましたが、当時はまだテレビが主流、しかもテレビ放映のコンテンツに見合った形になるようスポーツのルール改正が行われていた時代でした。アメリカでは生放送されるのはせいぜいフットボール、野球、バスケくらい。バレーボールやテニスなどマイナーなスポーツやオリンピックが大好きな私は、満足に試合を見ることができず驚きでした(オリンピックが生放送されないって日本では考えられないですよね)。そのため、書いた修論は、テレビ以外のDigital Mediaによるスポーツ放映の有効性をテーマとしたものでした。当時存在していたYahoo Clubなどを利用し、各種スポーツのファンの方から30,000件程のアンケートを集め分析しました。嘆願の意味も含めて、ESPNやNBCなど大手テレビ局や、プロリーグ組織に修論を送ったことを思い出します。 渡米してすぐ帰国の意思をなくし、永住を目指すことを決めたので、卒業後は職を探しましたが、相当の苦労でした。外国人が就労するためにはまず労働ビザを取得しなければなりません。労働ビザは欲しいからといって自分で簡単にとれるものではなく、私のような留学生は、その能力を評価し、ビザ取得の手続きや費用負担をしてでも私を採用しようという雇用主を探さなければなりません。私が卒業したのは2001年の7月。2か月後、職探しの真っ最中に全米を揺るがす事件が東海岸で起きました。いわゆる9/11、同時多発テロ事件です。9/11の後は、人員採用している企業が激減。外国人は問題外。そんな中、リクルーターの紹介で某日系人スポーツエージェントと面接することになりサンフランシスコからロスに出向きました。その時に馴染み先である保険のコンサルティング会社とも面接を設定したから行ってくださいと言われ、保険には全く興味がないということで一度は断りましたが、行くだけでいいのでお願いしますと拝み倒され面接に行くことになります。その2日後にそこから仕事のオファーをもらい・・・。当然引き受けることを悩みましたが、まずはビザが必要でしたので、仕事を引き受けることに。その後、ドジャースなども含めスポーツ業界の会社とも面接を重ねましたが、当時の私のように永住権ではない労働ビザしか持たない者は、法的に転職が認められません。半ば人質のような形で保険業界にどっぷり浸かることになり、18年が経過してしまいました。 アメリカでは国民健康保険なるものは存在せず、一般企業が民間の保険会社から保険を購入、福利厚生の一貫として、従業員に提供するというのが一般的です。日本でもオバマケアという言葉が取り上げられたことがあるのではないかと思いますが、従業員数が50名以上とみなされる企業については医療保険を提供することが義務付けられています。この保険プランを運営していくためには、法規制や各保険会社で設定されている引き受け条件等に精通していなければならず、通常は専門のコンサルティング会社に委託します。私は、そのようなコンサルティング会社で、年に一度迎える保険更新時での見積もり提案やアドバイス、また、民間保険会社から購入せず、自社で保険運営を行っているお客様に対しては、保険利用状況を分析したり、保険料率算出・設定などを行う業務に従事しています。また、現在では部門責任者として、後進の管理・育成・統括を行っています。渡米してから20年、やっと胸を張れることができるようになったかなというところです。大学時代の、特に大野研での貴重な経験は、紛れもなく現在の自分を形成する礎になっています。そういった意味では、同期のみんなや当時助手であった葛山さん、大野先生には深謝です。 最後に、オヤジの戯言になりますが、人生、小さなものから大きなものまでさまざまな岐路にぶつかりますよね。悩んでいても時間の無駄です。どちらを選んでも損得などありません。決心して突き進むのみ。最後に笑うことができるかどうかは自分次第です。 それでは、次は同期の林君にバトンタッチします。 ちなみに写真は、今年6月に行った、会社の10周年記念パーティーでの1枚です(右から2人目)。 ------------------------------------------------------------------------------------ (中堅の部)  鈴木大輔 みなさま、 初めまして、またご無沙汰しております。 2004年学部卒の鈴木大輔と申します。 私は卒業後日本アイ・ビー・エム株式会社に入社し、勤続16年目です。 現在はシステムアーキテクトという職種でお客様への提案活動や新規プロジェクトの設計を担当しています。 このアーキテクトという職種は、お客様の複雑な要件や課題をモデリングのテクニックを駆使して抽象化し、業界知識や最新のITを活用してソリューション(解決策)をアーキテクチャー(設計図)として作り上げることを、プロジェクトでリードする役割です。 作り上げると言っても、まったく新しいものを発明するわけではなく、様々な文献や事例を参照してそれらを組み合わせ、お客様の環境に合わせてエッセンスを加えて独自性を出すようなことをしています。 そうです、これはまさに卒論などの論文執筆で実施していた過程です。 今もそうであると思っていますが、大野研修室では学卒論文、院卒論文はほぼ2年をかけ、毎週の進捗確認や合宿などを通して論文執筆に研修室全体で相当力を入れており、その経験が本当に役に立っていると感じています。 刺激的なメンバーに囲まれてこういった経験をできたことを今改めて貴重なものだったと思い出します。 プライベートでは写真のように、3歳の息子に野球をやってもらいたく、自身の野球の試合に連れて行ってはキャッチボールをしています。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 ------------------------------------------------------------------------------------ (若手の部)   邵骏腾 2015年学士卒の邵と申します。 大野研では2年間お世話になりました。 大野研の雰囲気の良さとマーケティングサイエンスという学問に惹かれ、大野研を選びました。 研究では学部2年間しか行わなかったために、深い物ができたとは言えません。ただし、優秀な先輩・同期に囲まれ非常に充実した楽しい研究室生活が送れたなと思っております。一生の友人もできました。 私は学部卒業してから、日興証券の株トレード職として、2年間勤めてきました。その後は、2017年の8月に帰国し、今は上海の野村証券でquantitative traderとして、活躍しております。 最初大学時代に、自分で為替のトレードを契機に、今のキャリアにたどり着きました。5年間ずっと、トレーダーとして働き、様々な金融商品を扱って来ました。株、債券、オプション、コモディティ、ビットコインなど世の中にはトレードできる物が多く、非常に刺激且つ楽しい日々を過ごしています。 今は、上海で生活していますが、時に東京と大学時代の事を思い出すと、懐かしい感じが湧いて来ます。近い内に東京に行けたらと思います。 もう時期に30代になる自分では、後悔しない人生を過ごそうとしています。趣味として撮影を始めました。写真は中国の苏州に旅行に行った時のものです。 image.png 次は同期一のイケメン・永田先生にお願いしようと思います。永田先生、よろしく! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】ウェルカムバック! 大野高裕 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 研究室に訪ねてこられた方(原則的に)をご紹介するコーナーの「ウェルカムバック!」。今月号では3名をご紹介します。 まずは酒向海さん。こちらは私が不在の時に、写真にあるように、いよいよ卒論、修論の胸突き八丁に差し掛かった後輩たちのために、たくさんRedBullを差し入れしてくださいました。夏の松元さんの差し入れのように、RedBullは若者が頑張れる定番メニューなのですね。暖かなお心、どうもありがとうございました。感謝です! 続いて、木村優介さんですが、先月10月号でリレーエッセイ(中堅の部)でご登場いただいたのですが、リレーエッセイを読んでいて、今のお仕事のことを学部生に授業でお話ししていただくと、彼らのキャリア形成にとても役立つだろうと思いました。そこで木村さんにメールを送って、私の授業で一コマ喋ってもらえるようにお願いをし、その打ち合わせのために研究室に来ていただきました。12月末の授業で90分を使って2年生を鼓舞してもらいます。木村さんが手にしているのは会社の案内です。 最後が井上吉康さんです。たまたま用事があって、週末に理工キャンパスを来られたので、ついでに研究室にもお立ち寄りいただきました。井上さんは銀行勤務ですが、銀行の仕事も革命的に変わってきていて、トレーディングも今や人工知能を駆使した秒単位以下の売買だそうで、必要な道具立てや専門知識の範囲も相当に昔とは違うとのことでした。写真は向かって右側が井上さんですが、ちょうど来訪されたときに4年生の小川慶也さんと私とで卒論の検討をしていたので、小川さんにも一緒に写ってもらいました。二人を比べてみても、井上さん、若いですよね。大学受験を控えたお子さんがいるとは見えません。 ということで、3名の来訪者をご紹介しました。来月も”ふらっと立ち寄り”をお待ちしていますね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】日本経営システム学会研究報告記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11月9日10日の両日で日本経営システム学会の研究発表大会が神戸学院大学で開催され、大野研からは高田真也客員次席研究員の研究発表のほかに、修士2年の大学院生3名が修士論文の途中段階を発表しました。各自の研究テーマと感想は次の通りですが、写真の方は発表時に撮るのをうっかりしてしまい、慰労会の写真のみとなりました(大野研らしいですね)。“神戸に来たらやっぱり神戸牛でしょう!”ということで奮発して鉄板焼き屋さんで舌鼓を打ちました! (大野高裕) 市田和弥 「同時購買と値引総額を考慮した商品値引モデルの構築」 値引きは同時購買を誘発するきっかけになるのではという問題意識の下、値引きと同購買の関係をモデル化しました。 2回目の学会ということもあり、前回よりも落ち着いて発表することができよかったです。あとは修論執筆に向けて再度気を引き締めていきたいと思います。 杉浦裕文 「SNSのエンゲージメントに受信者のトライブが与える影響」 Twitterにおける画像の有無や文字数等の要因がエンゲージメントに与える影響について、トライブという類似したライフスタイルのグループによって影響度合いが違うことを定量的に表現しました。 様々な方の研究を聞くことでいい刺激を受けました。学会に向けて研究の大枠を完成させることができたので、残りの時間でさらにブラッシュアップしていく所存です。 名古屋百恵 「マルチエージェントシミュレーションを用いた個人投資家の投資行動分析」 個人投資家の投資行動パターンを人工資本市場でシミュレーションを行い、それぞれの投資行動の結果と市場に与える影響を検証します。 学会のおかげで、他大学の学生の研究を知ることができ、楽しかったです。最後の何ヶ月間で修論をラストスパートしていきたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◆ 編集後記 ◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「e-OHNO MAIL NEWS第182号」はいかがでしたか。 e-OHNO MAIL NEWS で大野研OB・OGへ発信したい情報等ございましたらお寄せください。お待ちしております。 なお、バックナンバーは大野研究室のHP内でもご覧頂けます。 編集担当 摩嶋翼 ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ 「e-OHNO」は、大野研のOB・OGへ毎月17日の配信を予定しています。 [大野先生への連絡先] ohno@waseda.jp [メルマガに関するお問い合わせ] e-ohno@www.ohno.mgmt.waseda.ac.jp [アドレス変更・メール配信解除] obkai@www.ohno.mgmt.waseda.ac.jp [大野研究室HP] https://www.ohno.mgmt.waseda.ac.jp/wordpress ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・