e-OHNO MAIL NEWS 第186号

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  e-OHNO MAIL NEWS 第186号 2020/03/19

      https://www.ohno.mgmt.waseda.ac.jp/wordpress/

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こんにちは。今月号のe-OHNO MAIL NEWSの編集を担当させて頂くこととなりました、学部4年の摩嶋翼と申します。

今回のメールマガジンは、以下のコンテンツでお送りいたします。

■ 今月号のコンテンツ ■ (敬称略)

【1】禍を転じて、福と為す   大野高裕

【2】ビジネス最前線       原浩達

【3】リレーエッセイ第21号

(シニアの部) 折戸謙介

(中堅の部)  杉山聡

(若手の部)  上島奈都季

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【1】禍を転じて、福と為す    大野高裕

大野研ゴルフ大会の延期のお知らせで、今年の卒業式と入学式は新型コロナウィルスの影響で中止とお伝えしました。その後、OBの河野博行さんのご提案で、コロナ騒ぎが収まったら、OB/OGの皆さまのご協力を得て、今年の卒業生ならびに9年前の東日本大震災で卒業式が中止となった卒業生も合わせて、「大野研究室卒業式を行おう」ということになりました。一日も早くコロナが収まって開催したいものですが、現状では欧州を中心に拡大の一途をたどっており、収拾の見通しが見えません。OB/OGの皆さまのお仕事も、そしてプライベートへの影響も、コロナ騒ぎが長くなるほどボディブローのように効いてくるようで、本当に困惑してしまいますね。ですが、まずはご自分や大切な家族の皆さまが感染しないようにくれぐれも細心の注意を払っていただきたいと思います。

さて、大学では卒業式・入学式中止だけではなく、授業開始も2週間開始が遅くなって4月20日からになりました。それもまだ確定ではなく、状況次第ではさらに遅くなる可能性も言われています。こうなってくると、この世界的な感染上状況を踏まえたうえでの生活や仕事を考えなければなりません。すでに、在宅勤務、テレワークが始まっています。近年、政府の音頭で働き方改革が進められてきましたが、染みついた仕事習慣や意識はなかなか抜けなくて、目立った成果が出てこなかったかと思います。例えば、なかなか会議は対面でないと成り立たなかったり、会議の回数も減らなかったりという状況でした。しかし、このコロナ騒ぎで、「大人数が至近距離で密閉空間に長い時間留まるのは命に係わる」ということになると、会議室での会議を見直さざるを得ません。遠隔会議にしようとか、会議そのものをやる必要があるのか、権限移譲はできないか、そもそも会議っていったい何のためにやるのか、といった根本的な見直しにつながってきます。会議は意思決定するための仕掛けなのに、実際には報告事項ばかりだったり、決めない議論や雑談ばかり、という現実を皆さんもずっと見て感じてきたことだと思います。それでも、なかなか変えるきっかけがなかったわけですが、今回のコロナ騒動で、これを真正面から見つめて、「会議をスリム化しましょう」ということが、まさに「命がけ(命を守る)」で検討され改革される状況に至っていると思います。

そうした意味で、今回のコロナ騒動が仕事のやり方そのものを変えてしまう機会になる、ちょっと古い言葉ですが、BPR(Business Process Reengineering)(もう死語かな?)推進の絶好のチャンスかもしれません。ピンチをチャンスに、というのはよく言われることですが、今回の件を、ただ嵐が来るのをじっと耐え忍んでやり過ごすのではなく、そこから学び、変革のきっかけにするということが大切ではないかと思います。

これを大学という「場」を見てみれば、これまでの大学教育では学生と教員が同じ時間に同じ場所に集まって授業を行ってきました。ところがデジタル化やインターネットという道具立てによって、時間と空間を超越できるオンディマンド授業というものが実現できるようになりました。それは昨日今日に始まったことではなく、例えば、15年以上前から早稲田大学には人間科学部にeスクールというオンディマンド授業だけで卒業できるコースとカリキュラムがあります。これは社会人学生を中心に大きな成功を収めているのですが、既存学部でこうしたオンディマンド授業がどこまで浸透しているかというと、各授業の一部には導入されているものの、一つの授業をフルオンディマンドで提供するということが、まだ多数を占めているわけではありません。私自身も、授業の一部で使っていますが、まだ大部分が教室での対面型授業です。恥ずかしいことに、頭では「わかっちゃいるけど、やめられない」「そのうちにフルオンディマンド化しよう」と、ついつい後回しにしてしまっています。

しかし、今回のコロナ騒動によって、対面授業への物理的な大きな制限が課せられたおかげで、待ったなしでオンディマンド授業にシフトせざるを得なくなっていきそうです。もちろん、オンディマンド教育がオールマイティだとは思いません。そうではなくて、これからの大学教育はどうしていけばいいのかを考え、改革していく貴重なきっかけにしようということなのです。教育のどの部分を対面型授業で、どの部分をオンディマンド型でやることが最適なのか? それを考えるためには、何を育成したいのかという上位の教育目的は何かという根本的課題を考えざるを得ません。つまり、教育のツールや方法の適切性は、その上にある根源的な目的に沿っているかを考えなければならないのです。対面すれば何が修得できるのか?オンディマンドだったら何が可能なのか、限界なのか? そうした教育目的と教育方法との本質的な議論が可能となります。そして議論だけならいつでもできるのですが、今回の場合には「そのうちにね」という先延ばしはできず、切羽詰まっていますから、行動に移さなければならないのです。この「行動に移す」ということがとても大切なことで、改革は行動することによって実現します。

ついでに言ってしまうと、改革は5段階で完遂すると考えています。それは、

 「問題発見」⇒「課題設定」⇒「改革案創出」⇒「実行完遂」⇒「確立継続」

です。

まずは状況を分析して、いったい何が真の問題なのか、本質を発見し(問題発見)、これを解決するための課題と目的・ゴールを設定し(課題設定)、この目的を達成するための方法をアイディアとして考えて計画として組み上げ(改革案創出)、それを計画に基づいて実際に行ってフィードバックをしながら修正を加えつつゴールに到達してやり遂げ(実行完遂)、そしてそのゴール完遂の仕組みを1回限りとせずに確立していく(確立継続)。これが改革の5つのステップと捉えています。

「改革」という大げさな言葉でなくとも、新たなことをやるという日常的な創造的な活動も、このパターンだと思います。教育においても、イノベーションを起こす人材育成をやろうということで、この5つのステップのうち、最初の3つくらいまではやれるようになったのですが、如何せん、「実行完遂」と「確立継続」まではなかなかできにくい状況です。つまり、新たなことをアイディアを創出するトレーニングまではできても、実際に事業や社会政策をやってみるのは、学内の教育の場ではできないのです。ただ、これを補完する方法としてはコンピュータ・シミュレーションがあります。このシミュレーションも様々な方法(例えば、エージェント・ベース・シミュレーションなど)が開発されてきているので、これを使って的確なシナリオを描くことができれば、かなりいい「実験」による知見と疑似的な経験を得ることができるようになっているので、これを今後積極的に活用したと思っています。

今回のコロナ騒動が私たちの仕事のやり方だけでなく、仕事そのものの存在意義を見直しつつ、真の「働き方改革」につながる貴重なきっかけにしたいものと願っております。

今年の東京での桜の開花は3月14日と観測史上、最も早くなりました。写真は理工キャンパスの隣にある戸山公園の新宿体育館前の桜です(昨年もこの時期のメルマガに掲載しました)。この桜は他よりも早く咲くもので3月12日に撮影しましたが、もう5分咲きでした。左に東京オリンピックのキャラクター、ソメイティちゃんも映っていますが、オリンピックの開催もどうなることか・・・。不透明が続きストレスが溜まりますが、軽い運動で体を動かしてスッキリしましょう。では、皆さま、ご安全に!

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【2】ビジネス最前線  原浩達

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‘98年学部卒の原 浩達です。

先日、久しぶりに大野先生にお会いした際に、本メルマガの事を伺い、自動車業界について書いてみては、とのお話を頂きましたので、僭越ながら書かせて頂きます。

初めに、簡単に自己紹介をさせて頂きます。私は卒業後、IHI石川島播磨重工業で、橋梁事業の企画、管理業務に従事しておりました。その後、今から15年程前に日産自動車に転職し、

生産部門にて、サプライチェーンの企画、実行、及び生産戦略の策定等の業務を担当してきました。ルノー・三菱自動車・日産自動車のアライアンスの組織統合により、一時はフランスのルノーに

駐在していた事もありますが、現在は、三菱自動車で生産戦略の企画、立案を担当しております。

いま、自動車業界は、100年に一度の変革期であると言われていますが、新しい技術、サービスであるCASE(Connected, Autonomous, Shared & Service, Electric)の波が

グローバルに起こっており、各OEM(自動車製造メーカー)がそれぞれの戦略で対応しようとしております。

Connected(コネクティッド)は、インターネット経由でクルマとサービス拠点間で情報を共有する事により、渋滞情報、事故や災害時の緊急情報を始めとするドライバーに有益な情報を提供

していくという流れです。Autonomous(自動運転)は、すでに実用化されている高速道路上での運転支援を発展させて、特定の場所では(緊急時を除き)全ての操作をクルマが自動で

行う段階まで、間もなく到達する見込みです。更に場所の限定をせずに全ての操作をクルマが行う最終段階を目指して開発が進んでいます。Shared & Service(カーシェアリング、サービス)

は、海外ではUber、Didi等、カーシェアリング利用の広がりを見せていますが、日本ではあまり普及せず、タクシー配車サービス程度に留まっております。将来に向けて、自動運転と組み合わせた

無人タクシー、バスサービス等の開発も進められております。Electric(電動化)は、電気自動車の拡大の事で、欧州を筆頭に、電気自動車への切り替えの機運が高まっており、イギリス政府は

2035年、フランスは2040年にはガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出しています。中国政府もNEV(新エネルギー車)を推進しており、EVへの補助金を支えに中国の

EV販売台数も増加しました。今後は、補助金からクレジットポイント制へ移行し、NEVを促進するものと思われます。

また、CASEに加えて、環境先進国のEU、USのカリフォルニア州等を中心にCAFÉ(平均燃費基準)と呼ばれるOEMメーカーごとの平均燃費の目標値を年々厳しくしており、目標を達成

できない場合にはペナルティーを支払わねばならないため、燃費改善のための軽量化、HEVやEVの開発が増加しています。他にも、排出ガスのEmissionの基準も厳しくなり、CAFÉと併せて

法規対応の投資負担が重荷となってきています。

更に、電動化により内燃機関が不要となると、車の構造がシンプルになるため、これまでのOEM各社の強みであったパワートレイン性能や、開発・モノづくりのプロセス等のアドバンテージが無くなり、

他業種からの新規参入のハードルが下がります。テスラは2019年に30万台超を販売しました。アップルはEV開発中とみられていますし、ソニー・パナソニックも試作車両を公開しています。

このような大変革期を生き残るために、巨額な投資とリスクを負担できる会社規模として(販売台数の)1,000万台クラブという言葉が生まれました。2019年ですと、VWが1,100万台、

トヨタが1,070万台、ルノー・三菱・日産が1,020万台の3社(/連合)がそうですが、昨年末にFCA(440万台)とPSA(350万台)が合併して890万台となり、1,000万台を目指す

勢いです。今後、日本でも、M&A、提携は進むのでしょうか?過去、フォードとマツダ、ダイムラーと三菱、VWとスズキ、トヨタとテスラ等、海外と日本のOEMメーカーでは企業文化、プロセス、

マネージメント等の相違が大きく、上手くいかない事の方が多く、トヨタとスバル、スズキとの間で進んでいるような緩やかな提携に留まるものと思います。

ここまでお話をすると、ルノー・三菱・日産のアライアンスはどうなっているのか?とのご質問を受けそうですが、世間を騒がせているゴーン元会長の事を含めて、コメントは差し控えたいと思います。

が、あくまでも個人的な見解としては、1999年に倒産寸前であった日産の課題は、マネージメント、意思決定の拙さであり、それをルノーが補って立て直した結果として、これまでの20年余りで

ルノーと同様のマネジメント体制とそれに沿った仕事のやり方が日産内に浸透しており、提携の継続に問題は無いと思います。フランス人との言葉、文化の壁だけは難しさとして残りますが。

このあたりで勘弁をして頂ければと存じます。

写真は、ルノーの同僚とセーヌ川の畔で撮ったものです。(左から3人目)

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原 浩達

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【3】リレーエッセイ第21号

(シニアの部) 折戸謙介

(中堅の部)  杉山聡

(若手の部)  上島奈都季

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(シニアの部) 折戸謙介

皆さま、初めまして。 1995年学部卒、1997年修士卒の折戸謙介と申します。

昨年末に大野研の同期会が行われたのをきっかけとして、同期のアイドル、渡邉華奈さんからリレーエッセイのバトンを引き継ぎさせて頂くという栄誉を頂きましたので、駄文におつきあい頂けたらと思います。 

大野研のOB会やイベントに出席することも少ない隠れキャラなので、自己紹介を混ぜながら近況報告を致します。

学部の時は企業の社会貢献活動(メセナ)に関する卒論を書いたのですが、修士に進む際に、金融業界に対して漠然と持っていた憧れもありファイナンス理論の研究に転向し、大野先生、葛山先生の下で金融派生商品のリスク管理(VaR)の研究をさせて頂いたのは非常にいい経験となりました。これにより具体的に銀行で働いていきたいと強く志望を持ったものです。

結果として金融機関の中でも当時は仕事に厳しいと評判だった住友銀行(現在の三井住友銀行)に入行。一年目に縁があり市場部門へ異動となりましたが、会社に入ったこの1997年はアジア通貨危機や、日本でも大手金融機関の破綻もあった中、相場も大波乱が続き、この業界に飛び込んだのが自分にとって果たしてよかったのか1年目から考えさせられる、ジェットコースターというかスカイダイビングをしていたかのような年でした。

華やかに見える市場部門ではありましたが、私自身は花形のディーラーやトレーダーといった業務ではなく、業務管理やALM企画といった地味目な仕事を20年以上続けてきています。 

そのような中でも上司であった宿沢(当時部長、元ラグビー日本代表監督)に大野研で研究していたVaRのことをレクチャーしたり、2001年の合併の際の準備期間はデッドラインが決まっている中でボロボロになりながらいつも午前様で働いたりなんてこともありましたが、それも懐かしい思い出です。 

その後、アジア危機から復活したアセアン諸国の経済成長を目の当たりにしながらのシンガポール駐在を経て、また東京に戻った後は銀行のALMをコントロールするグループヘッドとして年々増大する外貨ニーズに対応していきました。

2017年からは、東アジアの市場業務を担当するべく二度目の海外として香港に駐在して現在に至っております。まだまだ東アジアには伸びしろがあるはずという思いを持ち新たに部署を立ち上げたものの、ご存じのように、ここ一年は香港をはじめとした東アジアは大荒れで、通常のビジネスだけでなく一般の生活もままならない状況になっています。

香港では、逃亡犯条例導入への反対から6月以降大規模なデモがおき、さらに10月の覆面(マスク)禁止法以降急速にデモの過激化が進み、香港の中心街で催涙弾や火炎瓶が飛び交うという異常事態が発生。我が家でも家族でバドミントンの香港オープンを見に行った際、すぐ近くで警察とデモ隊の衝突が発生し地下鉄、バスの交通機関が急遽ストップ。目の前で銃声が聞こえる中、フェリーを使って危機一髪で混乱から脱出に成功ということもありました。

そんな状況の中での中国発の新型コロナウィルス。その影響でいったんデモは一時休止という感じになっていますが、分断された香港社会の根本的なところは解決してないだけに、コロナ騒動が終わったらまた次はどうなるかわかりません。

新型コロナで影響が出るのはもちろん仕事だけではありません。駐在生活を日々支えてくれている家族にも影響が出てきました。デモの時は危ない地域を避ければまだ生活は出来ていたのですが、ウィルスは目に見えないので対策も立てようがありません。子供の学校が1月末以降ずっと休校が続いていることもあり、日本に戻すか香港に残るかで家族会議を重ねているところです。

こんな感じで振り返ってみると、いままでの人生の中で様々な岐路がありましたが何事もすぐに答えがでるものではありません。なにが幸か、不幸かということも予測できるものでもありません。自分の力だけで選択できるものばかりでもないので、人間万事塞翁が馬と思って生きてきています。

そして今年卒業される方々、一生に一度の卒業式が中止になったことはもちろん非常に残念なことです。 

慰めの言葉にはならないかもしれませんが、しかし、この大変な時期を乗り越えて、後から振り返えった時、卒業式が無かったことを残念だったと思うのではなく、無かったからこそ今がある、くらいの気持ちで頑張ってください。大野研究室の卒業生一同が頼もしいサポーターとして社会で待っています。

まだまだコロナウィルスへの動揺の収まりの気配が見えないなか、この原稿を書いている時点でもFRBが緊急利下げ、日本銀行も臨時会合で金融緩和を決定する等、リアルタイムに金融市場、世界経済が動いています。 

人類の英知をかけ、最後はコロナウィルスとの闘いに勝つと信じてこのエッセーの最後とさせて頂きます。

 

それでは、次は同じ金融業界でともに汗を流している同期の本田益雄君にバトンを渡します。よろしく! 

(写真は、香港名物ブルースリー像の前でポーズを取る息子です)

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(中堅の部)  杉山聡

みなさん,初めまして(御無沙汰しております)。2010年大野研究室修士卒の杉山聡と申します。大野研では金融工学を専攻していましたが,卒業後はメーカーのキヤノンに就職しました(ちょうど10年になります)。入社以降一貫して生産管理関連の業務に従事しています。2018年にフランス北西部の関係会社に出向して2年になります。この会社ではヨーロッパ向けの複写機用トナーボトルとLPBプリンター用CRGを生産しており,私は調達・生産管理・輸出入業務を担当しています。

 海外赴任といっても華やかさはあまりなく色々と悪戦苦闘しています。いくつか例を紹介しますと,現在進行形でコロナウィルス対応で,部品の購入から顧客への出荷が止まらないように日々苦労しています。部品一つを見ても,一次取引先がEU圏で影響なくても二次/三次取引先が中国だったりと世界の小ささを感じています。

 また,他の国よりもフランスではストライキ/デモを頻繁に行ないます。最近では,黄色いベスト運動や年金改革反対のストライキが行われました。その度に調達から出荷までのどこかの工程に影響があり”またかフランス・・・”と思うのですが,それを現地メンバーと乗り越えていくことがやりがいでもあります。

 最後はフランス語です。赴任が決まってから勉強を開始しましたが,思っていた以上に難しいです。大学時代,第二外国語は(難しいとされる)フランス語を避けて(単位を取るのが簡単といわれた)スペイン語を選択していましたので,学生時代の(逃げの)選択が今になって影響を与えています。

 プライベートについてですが,妻+娘+柴犬と一緒に赴任中です。ヨーロッパではペットに寛容な場所が多く,日本とは違ってホテルやレストランで一緒に過ごすことができますので,犬も連れて家族旅行に行くのが赴任中の楽しみです。添付の写真はモンサンミッシェルです。日本人観光客に人気の世界遺産で,家や会社から車で1時間程度で行けます。

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 次回バトンタッチする相手ですが,同期の浅野君でお願いします。

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(若手の部)  上島奈都季

お世話になっております。

2017年学部卒の上島奈都季と申します。

こないだまで大学生だった気がしているのですが、時間が経つのは早いものでいつのまにか社会人3年目が終わりかけていました。

現在は、日鉄ソリューションズ株式会社で旅行サイトの開発を行っています。

入社してからの2年間は、下積みを積む!ということでひたすら自分の苦手なプログラミングとの戦いで、PCと睨めっこしているうちに日々が過ぎていきました。学生時代にもうちょっとプログラミング頑張っておけばよかったと思う毎日でした。(プログラミングの必須授業では、単位を取る最低限しか頑張らなかったことは今更ながら反省しました。)

 しかし、ここ1年くらいは案件のリーダーとして推進する側の立場になりました。わたしが開発している旅行サイトは、既に10年前くらいから世の中に出回っており、24時間365日稼働しているシステムです。そのため、月に1回深夜にシステムを止めて新たな機能をリリースしているので、その新たな機能の開発案件というのがメインの業務です。

 リーダーの主な業務は、見積もり、WBSを用いた進捗管理、顧客への進捗報告、遅延時にはクリティカルパスを考慮したスケジュールの立て直しなどです。学生だった頃は、プロジェクト管理法をあくまで体系的知識として理解し、覚えはするものの実際にその知識をどう生かせばいいのかというイメージを全く湧かすことができなかったのですが、実際にプロジェクト推進をする立場になってみて、知識が業務に直結する部分ばかりで、経営システム工学科に入ってよかったなと改めて思いました。チームメンバーは、自分よりSE暦の長い人しかいないので、どうしても細かい部分のサイトに関する知見や、技術力というのは負けてしまう部分が多いのですが、土台として体系的知識があることが強みになっているなと感じる場面が多いです。案件全体を俯瞰する力や、その手法を無意識のうちに活用できている気がしています。

弊社は、開発だけでなく、開発知見に強みをもつITディレクターとして、顧客の立場でも案件に参画し、データ分析などを用いて費用追効果の高い施策を提案、案件化するといったような部分も担っています。将来的には、大野研で学んだことを生かしたく、なんとなくゴールが決まっている案件を実際に形にするという現在の役割ではなく、ゴールを見つけにいくITディレクターの役割を担いたいと考えているので、まずはあと数年開発知見を積んでいきたいと思います。

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最後に写真は、年始に家族でオーストラリアに行った際の写真です。

初のセスナからの景色は絶景でした。

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◇◆ 編集後記 ◇◆

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「e-OHNO MAIL NEWS第186号」はいかがでしたか。

e-OHNO MAIL NEWS で大野研OB・OGへ発信したい情報等ございましたらお寄せください。お待ちしております。

なお、バックナンバーは大野研究室のHP内でもご覧頂けます。

編集担当 摩嶋翼

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「e-OHNO」は、大野研のOB・OGへ毎月17日の配信を予定しています。

[大野先生への連絡先]

ohno@waseda.jp