e-OHNO MAIL NEWS 第164号

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e-OHNO MAIL NEWS 第164号

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今月号のe-OHNO MAIL NEWSの編集を担当させて頂くこととなりました、学部4年の岩井優太と申します。

今回のメールマガジンは、以下のコンテンツでお送りいたします。

■ 今月号のコンテンツ ■

・早稲田大学校歌『都の西北』の秘密 大野高裕

・【お知らせ】 第3回魚谷塾大野杯麻雀大会を開催します!   大野高裕・みな子

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早稲田大学校歌『都の西北』の秘密 大野高裕

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大学の将来を考える仕事をしている中で、「この大学をどの方向に向けるべきなのか」ということを考える時期がありました。それは現在進行中で6年目を迎えたWaseda Vision 150 (イチゴーマルと読みます) を策定する一員であった時期ですが、その時に、何を根拠にすればいいのだろうかとその礎を探しました。企業でも同じだと思いますが、自分たちのアイデンティティとは何か? 存在意義、ミッションは何かということがすべての旗印の源泉となります。そもそも、早稲田大学はどこからスタートしたのか?なにを目指そうとしていたのか? そして、その本質の延長線上に私たちの今があるはずです。

そこで行き着いた先は大学の「教旨」、建学の理念でした。皆さんよくご存じの「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」です。すなわち、新たな真理を探究・発見・創造し、その真理を社会に活かしていき、そしてそれができる社会のリーダーを育成するというのが創設者・大隈重信たちの建学の理念でした。これは大学創立30周年式典1913年に宣言されたものですが、それに先立つ創立25周年1907年にこの建学の精神を体現している早稲田大学校歌「都の西北」が先んじて作成されました。

早稲田大学校歌はカラオケにも入っていて、皆で集まるとついついお開き前に大合唱するほど、学生・OB/OGには愛着があり身近な存在です。一番の『都の西北、早稲田の杜に~』は誰でも知っているフレーズで、手短かに歌いたいときは「じゃあ一番だけで」となってしまいます。でも「やっぱり、三番の『集まり散じて人は変われど~』がいいよねえ」となると一番と三番を歌います。そうなると、二番が置き忘れられた存在なのですが、どうしてどうして、これもいい歌詞です。『東西古今の文化の潮、一つに渦巻く大東国の、大なる使命を担いて立てる~』と続きますが、あの欧米列強がアジアをはじめとして世界中を植民地化していた時代に、西洋と東洋が早稲田で出会って、世界を良い方向に変えていくんだという決意が感じられます。

ところで、Waseda Vision 150 のことを考える原点として、改めて「都の西北」の歌詞をじっくりと眺めてみました。するといくつかの発見があったのです。文章末に掲載した一番から三番までの歌詞をご覧ください。まず気づいたのは、一番から三番までただ一つだけ共通の言葉があるということです。それは「理想」という言葉です。幕末の志士・吉田松陰は次の言葉を残しています。

夢なき者に理想なし、 理想なき者に計画なし、 計画なき者に行動なし、

行動なき者に成功なし、 しかして夢なき者に成功なし

「夢」という言葉を「理想」と置き換えれば、まさに「理想なき者に成功なし」なのです。同じ時代を駆け抜けてきた大隈重信たちにも、吉田松陰と同じ思いがあったように感じます。

「理想を追い求める」ことが最も重要であるというのが早稲田大学の本質であると私は信じています。だから、早稲田の人たちは二番煎じを好まず、常に人のやらないことをやる。損得は考えず未知の世界に突っ込んでいく。そうした泥臭さは「理想」を追い求めていることの証だと思います。決してかっこ良くなくて馬鹿っぽい、スマートでもないのですが、やっぱり挑戦してしまう、リスクをとってしまう。それがやはり大隈たちから綿々と伝わるDNAなのだと思います。

さて、最近の世の中のキーワードはイノベーション、グローバリゼーション、ダイバーシティの3つに集約されるかと思います。つまり、これから社会、企業、そして個人に求められているのはこの3つのキーワードなのだと思います。すなわち、取り巻く環境として、いやでも自分の世界に閉じこもっているわけにはいかず、グローバルにさらされる時代であり、その中で環境適応としてブチ破るためのメソッドが今までになかった発想のイノベーションであり、そして何を求めるのかという価値観があらゆる人々の幸せを尊重するダイバーシティなのだと考えます。少なくともこれらが当たり前になってしまうまでの間は、表現は多少変化しても、キーワードとして取り上げられ続けるでしょう。

ところで、この3つのキーワードを「都の西北」と結び付けてみる不思議なことがわかります。文章末の歌詞に書きましたが、一番は「進取の精神、学の独立」を掲げており、これは現在でいうところのイノベーションに他なりません。現在の常識をすべて疑って新たな真理を創造するのはまさにイノベーションです。そして、二番の「東西古今の文化の潮」はもういうまでもなく、グローバリゼーションそのものです。100年以上前にグローバリゼーションの重要性に気づいていた大隈たちの卓見に改めて敬意を表さなければなりません。大隈重信は一度も海外に行ったことはなかったそうですが、彼の本質を見抜く力と同時に、彼の周りには当時のグローバリゼーションの知識や経験で卓越した相当すごい人材がごろごろいたのだと思います。最後に三番ですが、「集まり散じて、人は変われど」はまさにダイバーシティ、多様性です。さまざまな人がいるのが早稲田の伝統です。10人いれば10人が違うライフスタイルや価値観を持っているのが早稲田です。逆に人と同じだと何か気恥ずかしい気持ちになるところがあります。しかし、みんなの幸せにために汗をかくという「仰ぐは同じき理想の光~」は厳然としてあるのです。

繰り返しになりますが、イノベーション、グローバリゼーション、そしてダイバーシティは紛れもなく現代のあるべき方向性を示す重要なキーワードです。これの言葉が新聞やインターネットなどの情報媒体に出てこない日はありません。グローバリゼーションという大きな環境変化をダイバーシティという一人ひとりを大切にするという価値の共有を図りながら、イノベーションという新たなツールで課題解決をしていく。これが現代社会の大きな方向性であると私は捉えています。でも、その方向性は何も最近なって始まったものではなく、実は大隈重信たちが既に100年以上前に、そのコンセプトをその当時の言葉で指し示していてくれたのです。それを信じ、実現すべく、早稲田大学は130年以上の教育や研究を続けてきたのです。彼らはなんと偉大な人たちだったのでしょうか。そしてそのDNAを受け継いでいる私たちはなんと幸せなことでしょう。だって、無意識のうちに大切な3つのキーワードが心身に染みこんでいるのですから。

もしも、私たちが大隈たちのDNAをきちんと受け継いでいるのなら、これからの世界は私たち早稲田のOB/OGたちが中心となって築いていかなければならないのだと思います。とかく、「~ファースト」と自己中心的で、また単一の価値観でものごとを位置づけようとする最近の世の中の流れに対して、人類のあるべき方向性、すなわち「様々な一人ひとり」の「幸せ」を実現するために、早稲田はこれまでも、そしてこれからも存在するはずです。

私たちはなぜ早稲田なのか? もう一度私たちのアイデンティティとミッションを見つめなおしてみたいと思います。

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【お知らせ】 第3回魚谷塾大野杯麻雀大会を開催します!

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お待たせいたしました。例年6月に開催している大野研麻雀大会ですが、第3回の今回は準備の都合があった関係で、9月9日日曜に開催いたします。詳細は後日、参加受付も含めてアナウンスいたしますが、まずは日程を空けておいてください。

第3回魚谷塾大野杯麻雀大会 (もちろん塾長:魚谷侑未プロも参加します!)

9月9日日曜 集合10:30 競技11:00-17:00 反省会17:30-19:30

場所 中野ラブリースマイル(いつもの雀荘)

幹事:大野高裕・みな子

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◇◆ 編集後記 ◇◆

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「e-OHNO MAIL NEWS」第164号はいかがでしたでしょうか?

e-OHNO MAIL NEWS で大野研OB・OGへ発信したい情報等、ございましたらお寄せください。お待ちしております。

なお、バックナンバーは大野研究室のHP内でもご覧いただけます。

第164号編集担当 岩井優太

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