e-OHNO MAIL NEWS 第128号

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e-OHNO MAIL NEWS 第128号
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今月号のe-OHNO MAIL NEWSの編集を担当させて頂くこととなりました,
修士課程1年の松林航祐です。

大野研究室では新B4、M2が卒業論文、修士論文への着手が本格化し、各々が切磋琢磨しております。

今月号のメールマガジンは、大野先生の原稿に加え、
4月から卒業論文に取り組み始めてみての感想を新B4の2人よりお送りします。

■ 今月号のコンテンツ ■

【1】 本物に触れる (大野先生)

【2】 卒業論文に取り組んでみて (学部4年:佐藤 匡 学部4年:松岡 寛直)

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■1■ 本物に触れる (大野先生)
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4月初めに花で楽しませてくれた桜は、今では鮮やかな緑の葉っぱがみずみずしく、季節の中で命は巡っているのではないかと感じさせます。上野公園は桜で有名ですが、その中にある東京国立博物館で開催している「インドの仏像展」を連休中に家内とともに訪ねてみました。もともと仏像が好きで、テレビ東京系でやっている“みうらじゅん”と“いとうせいこう”の「テレビ見仏記」を録画して見ています。その二人が絶賛お勧めしていたので、「では行ってみよう」ということになりました。
同じ東京国立博物館では別の建物では鳥獣戯画展をやっていましたが、こちらは120分待ちとすさまじい状況でした。インドの仏像展はそれに比べればひっそりしていて、じっくりと堪能することができました。最近の展覧会はガイドイヤホンを500円ほどで貸してくれますが、これは必需品ですね。これがあるかないかでは全く見学の深みが違います。やはり薀蓄がないと、見ても心に残らないし、いったい何がすごいのかも皆目見当がつきません。今回のナレーションは“みうらじゅん”と“いとうせいこう”のハチャメチャな独断解説でしたので、特に面白かったです。
日本で「仏像」というとのっぺりした面長という印象ですが、インドの仏像を見てびっくりしました。顔の輪郭は四角く、鼻は高くて彫が深く、まるでギリシャ彫刻のような風貌なのです。と思えばインド人の顔つきという具合で、仏像の皆さんは全員「イケメン」でした。仏像の顔もインドから中国・朝鮮そして日本に至るまでの、その土地の民族の風貌を反映するものなのだと改めて思いました。つまり、その土地で仏教という宗教が根付いていくためには、「よそ者」ではなく身近に感じられる同じ民族に近いことが必要だったのではないでしょうか。
また、もともと仏教を開いたお釈迦様が亡くなってからの数百年は仏像が作られることはなかったそうで、お釈迦様の足あとなどを拝礼していたようです。これはお釈迦様を形にするなどということは、「もったいない」こと「畏れ多い」ことという意識だったようです。ところが、インドで偶像を重視するヒンズー教が台頭してくると、仏像が発明されたとのことでした。
このように、宗教も伝搬する土地ごとの事情や時代状況に合わせて変革されていくものなのだと改めて気づかされました。そして日本への仏教伝来は西暦538年と教わりましたが、今までは、「仏教伝来」も風が吹くがごとくに、自然的に発生したかのように思い込んでいました。しかし、考えてみればインドから中国に伝来するときにはあのヒマラヤの山々を超えて仏教を伝えようとした人たちがいて、山を無事に超えたとしても、見知らぬ土地、見知らぬ異民族に、聞いたこともないような宗教を信じさせようとするのですから、これはもう大変なことです。宗教は価値観そのものですから、これを変えさせるというのは並大抵のことではありません。インドから日本まで、命がけで何代にもわたって繋いできたバトンというのは凄いことだと、インドの仏像を見て発見させられました。
最近、教養とかリベラルアーツの重要性が指摘されています。それは学生とかだけでなく、経営者にも必須だといわれます。何も広範囲に物知りだということではなく、自分の専門領域以外が与えてくれる事実の発見やモノの見方の多様性、たとえば今回のインドの仏像のような時間・空間・人間社会的にもダイナミックな世界を見ることによって得られる俯瞰的なモノの見方は極めて重要で、私でさえも一つ脱皮させてくれました。
ついつい、目先で役立ちそうなことばかりの情報収集に明け暮れがちなのですが、本質はそこにあらず、自分の専門外、特に芸術作品にあるような気がします。すぐれた芸術作品はその時代の人々の英知の結集のうち、長い年月という風雪に耐えて現代に伝わるエッセンス部分です。人の根本に流れる直観や美意識、価値観は時代が変わっても、それほど大きな変化はありません。古代人が美しいと思ったものは現代人にとっても美しいし、「子供は宝だ」と思うのも万葉集で山上憶良が和歌に詠んだごとく、今でも普遍です。
本質、普遍から想像を掻き立てることによって、優れた創造は形成されるのではないかと思います。その芸術作品がなぜ現在まで生き残ってこられたのかを自分なりに発見・解釈できるようになると、自分なりの本質の見極めができるようになるのではないか。それは自分がこれから新たに作ろうとする創造物(たとえばビジネスモデルでもいいのですが)が本物になるための備えるべき要件を見出すことに繋がるのではないかと思うのです。

以上

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■2■ 卒業論文に取り組んでみて (学部4年:佐藤 匡 学部4年:松岡 寛直)
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学部4年:佐藤 匡
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卒業論文に着手しての感想

着手して1ヶ月が経ちました。思うように進めることができず難しいと感じています。
学部3年生のときは、先輩方の研究発表を聞く程度だったので、卒論に対して気楽に考えていました。
しかし、自分で取り組み始めて、そこには多くの苦労があったのだろうと考えるようになりました。
そして、自分の卒論がどうなるのかと先が見えずにやや不安や焦りを感じています。
けれども、大学生活の最後の試練だと思って前向きに取り組んでいこうと思っています。
先生方にご指導いただきながら、少しずつでも日々前進できるように努力していきたいです。

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学部4年:松岡 寛直
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こんにちは、大野研B4の松岡と申します。大野研に配属されてから、早いもので半年以上がたちました。
B3の頃は、基礎的な知識や手法、また研究室での生活の仕方などを学び、B4となった今年の4月から、ついに卒論ゼミに参加することとなりました。
今はまだ、卒業論文のテーマ設定で悩んでいる段階なのですが、研究の難しさをとても感じております。
例えば、研究の必要性や新規性などをきちんと考える必要のある点です。「こんな事に興味があります」では研究としては不十分で、そこからの一歩に苦労しております。
研究初心者ですが、少しでもよい研究ができるよう、努力していきたいと思っております。

◇◆ 編集後記 ◇◆
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「e-OHNO MAIL NEWS」第128号はいかがでしたでしょうか?
大野先生と研究室の現在の雰囲気を感じていただければ幸いです。

今後も「e-OHNO MAIL NEWS」をご愛読のほど、よろしくお願い致します。
なお、バックナンバーは大野研究室のHP内でもご覧いただけます。

第128号編集担当 松林航祐

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発行元:早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科
早稲田大学大学院 創造理工学研究科 経営デザイン専攻 大野研究室
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